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高知地方裁判所 昭和55年(わ)593号 判決

主文

被告人を懲役二年に処する。

右刑の執行を懲役一年に減軽し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となる事実)

被告人は、川久保秀水及び岡林謙二と共謀のうえ、行使の目的で、昭和五四年八月六日ころから同年一〇月三日ころまでの間、高知市朝倉二五九番地一九の当時の被告人方において、日本国内に流通するアメリカ合衆国政府発行の一〇〇ドル紙幣の両面を写真製版し、これらをオフセット印刷機にかけて薄手洋紙コニーラップに印刷するなどして、内国に流通する右外国の紙幣約一七〇枚を偽造した。

(証拠の標目)《省略》

(法令の適用)

被告人の判示所為は刑法一四九条一項、六〇条に該当するので、その所定刑期の範囲内で、被告人を懲役二年に処することとするが、被告人の検察官に対する供述調書及び検察官作成の捜査報告書によれば、被告人は本件公訴事実及び偽造外国通貨の大韓民国内輸入、同行使等の事実について、大韓民国ソウル高等法院において一九八〇年四月三日同国刑法二〇七条による外国通貨偽造、偽造外国通貨輸入、同行使の各罪及び同法三四七条による詐欺罪として懲役一年の判決を受け、現地で刑の執行を受け一九八〇年一〇月一七日刑を終了して出獄したことが認められるので、刑法五条但書によって、前記本刑のうち一年を差し引き、執行すべき刑を懲役一年に減軽することとし、なお情状により刑法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予し、訴訟費用は刑訴法一八一条一項但書を適用して被告人に負担させないこととし、主文のとおり判決をする。

(裁判長裁判官 鍵山鉄樹 裁判官 田尾健二郎 久保雅文)

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